バラバラに、ともに。遠藤まめたのブログ

LGBTの子ども・若者支援に取り組む30代トランスの雑記帳です

『ツイッターと催涙ガス: ネット時代の政治運動における強さと脆さ』。

社会運動について論じた本で何が面白かった?という話を知り合いとして楽しかったので、久々にブログ記事にしてみる。 まずは『ツイッターと催涙ガス: ネット時代の政治運動における強さと脆さ』。 ツイッターと催涙ガス ネット時代の政治運動における強さと…

トランスジェンダーの経験の複雑さを、どう伝えるか

トランスジェンダーの経験の複雑さを、どう伝えるか

デフレ化する「LGBTフレンドリー」~電通過労死事件とエリート・ゲイ写真から考える「働きやすい職場」

デフレ化する「LGBTフレンドリー」~電通過労死事件とエリート・ゲイ写真から考える「働きやすい職場」

性の多様性について個別対応ではなくみんなで学んだほうがいい理由

性の多様性について悩んでいる子への個別対応だけでは不十分で、みんなで学んだ方が良いわけは「当事者の子どもがカミングアウトの相手として最も選ぶのは同級生だから」というのが大きい。 これは「いのちリスペクト。ホワイトリボン・キャンペーン」が2013…

家族や学校がLGBTQに受容的であることの大切さ

LGBTユース向けの「いのちの電話」を運営しているトレバープロジェクトが2023年版の全国調査を実施した。 相変わらず若年当事者の希死念慮や自殺を試みる割合は高いが、LGBTQに肯定的な環境があることによってやや改善されることも示されている。特に家族や…

やっぱ愛ダホの活動を終えます

毎年5月17日の「多様な性にYESの日(IDAHOT)」にあわせて全国各地でキャンペーンを呼びかけてきた「やっぱ愛ダホ!idaho-net.」が来月で活動を終えることになりました。来週末に「やっぱ愛ダホ!」クロージングイベントを開催します。よかったらきてください…

橋本愛さんのコラム/対立ではなく共闘を

文春に掲載された橋本愛さんのコラムが話題になっている。 bunshun.jp 橋本さんは先日、トランスジェンダーに関連するSNSの投稿を撤回・謝罪して話題になった。「学びの機会をくださり、本当にありがとうございます」と投稿したのが3月15日で、この半月の間…

LGBT理解増進法は女湯の運用とは関係がない

LGBT新法をめぐって、この辺は前提に議論できると良いかなと思うことを整理してみた。なおタイトルには理解増進法をあげたが、差別禁止法も同様である。 (ちなみに執筆者はトランスジェンダーの当事者として2010年前後から議員に政策提言などもしている立場…

今年こそ居場所づくりを再開したい/はじめたい方へ

2023年が始まりましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。コロナ禍に突入して、相変わらず感染者は多いけど、そろそろ日常のあれこれが正常化してきた頃かと思います。年末に、久々に各地のLGBT団体のサイトを見ていたら、交流会が停止したままのところが…

炎上案件と当事者の役割(ロール)

LGBTに関するさまざまななニュースのコメントをメディアから求められる機会が多い。政治がらみの案件以外は、自分があまり怒っていないことに最近気がついた。自分が炎上してしんどかったことを思い出したり、コミュニティ全体が不寛容だと思われることへの…

ここにいることは最低で最強の抵抗

※死に関する話題を含みます。 昨日、イベント登壇直前に若い知り合いの訃報を耳にして泣きそうだった。病気だったという。イベント自体は完璧にこなした。実際に新刊について気心しれた仲間と語り合えるのはとてもうれしかった。悲しいことと、その他のいろ…

SNS上で政治的な発言をすること・しないこと

先日発売された『ソーシャルメディア・プリズム SNSはなぜヒトを過激にするのか?』はなかなかに面白かったので、感想のメモを残しておこうと思う。インターネットと社会運動の関係性について考える上で、示唆に富んだ一冊。 www.amazon.co.jp 同じ意見ばかり…

新刊が明日発売!これまでの本を振り返る

9月2日に、新しくまた本が出ます。 amazon.co.jp 今度の本は教員向けです。単著が出るのは5冊目。 似たような名前の本ばかり出してると思われそうなので、聞かれそうなことをまとめてみた。 Q.既刊『先生と親のためのLGBTガイド』とはどうちがいますか タイ…

マッサージ屋でsirと呼ばれた話

この前バンコクを旅する機会があり、マッサージ屋にいった。赤の他人に自分の身体を触られること自体がなかなかハードルが高く、いろんなメニューがあったが、自分が選べるのはフットマッサージ一択だった。私の外見は男性にも女性にも見える。そのため自分…

LGBTに関するエッセイが中学入試の問題にでる世の中になった

昨年出版した『みんな自分らしくいるためのはじめてのLGBT』(ちくまプリマー新書)が今春の中学入試の国語の問題で出題されたらしい。 みんな自分らしくいるためのはじめてのLGBT (ちくまプリマー新書) 作者:遠藤 まめた 筑摩書房 Amazon 粋な計らいをして…

セミナーの注意喚起について

先日、LGBTに関する啓発活動を行なっている清水展人氏よりメールをいただきました。私が2017年2月にTwitterで発信していた清水氏に関する2つのツイートについて削除してほしいとの内容でした。 Twitterは前後の文脈が分かりにくく、5年前のツイートであれば…

ヘイトに傾いた人には恥をかかせないほうがよいのかもしれない

最近読んだこちらの記事が面白かった。 www.huffpost.com 10代の子どもがネットで過激思想に触れているぽかったときにどうするか?というもので、いくつかアドバイスが出てくるが、その中に「Don’t shame them(相手に恥をかかせないこと)」というのが出て…

トランスヘイトに胸を痛めている人ができること

トランスヘイトに胸を痛めている人ができること

私の勤務先に関する誤情報と、みなさまへのお願い

こんにちは、遠藤まめたです。LGBTQ支援に関する活動をしながら、平日は企業で働いております。 私の勤務先であるオンライン署名サイトChange.org(チェンジ・ドット・オーグ)上でたちあがった署名キャンペーンについて「社員の遠藤が自分の気に入らないもの…

「韓国のトランスヘイトの現状とその対抗策に学ぶ」レポート

先日開催されたオンラインイベント「韓国のトランスヘイトの現状とその対抗策に学ぶ」は、韓国からゲスト二名を招いた豪華な作りでありつつ定員が40名と少なく、参加したくてもできなかった人が多いようだった。そこで、主催者である「くまにじ」さんに許可…

Twitterの一括ブロック機能を使ってみた

*8月30日、リライトしました。 数年前からTwitter上ではトランスヘイト言説が激化しています。 この間、引用RTで絡んでくるアカウントが多く、それをみてメンタルヘルスを害しているユースたちがいることをわかっていて、ずっと悩んでいました。 そこで、特…

入院時の対応でよかったこと

終わった今となればずいぶん前のことのように思えるが、先月入院して手術を受けた。 書こうか迷ったが、たぶん参考にしてくれる人もいるだろうから記録として残しておこう。 問題が発覚した理由 トランス男性はなかなか婦人科にいきにくいよね、ということで…

トランスとスポーツをめぐる話

今回の東京五輪は、トランスをカミングアウトした選手が出場するというので、トランスとスポーツをめぐる話に焦点があたっている。 トランス女性が女性競技に出るのは体格差などを考慮しない、公平さにかけるのではないかという議論もあった。今回出場した中…

「休めっていうけど、休んだら差別なくならないじゃん」へのひとつの回答

TPATH(Transgender Professional Association for Transgender Health)というトランスが集まってトランスのヘルスケアを語るグループのカンファレンスに週末参加した。国際会議だが、例に漏れずcovid-19のためにオンライン開催である。 先日はオランダ大使…

オキュラスクエスト買って良かった話

たまには雑談を。免疫抑制剤のんでる上に日焼けもできないので、この夏は気分転換のしようもないな。ということでVRのストリートビューつかって海外をみていた。TVは見ないし、Twitterのタイムラインは五輪で荒れているし。オキュラスクエスト2で、wanderと…

【トランス差別をとめるには】Huluにリクエストを送ってみた話

動画配信サービスのHuluに、こんなメールを送ってみた タイトル:Changing the Gameを日本でも上映してほしいです 内容:プライド月間にあわせてChanging the Gameが米国Huruで配信されるとの記事を拝見しました。https://www.glaad.org/blog/glaad-wrap-hul…

取り残された者のためのトランスジェンダー 史

20歳のときにトランスジェンダー当事者として、自分が共感できる文章の書き手はふたりしかいなかった。そのひとりがヨシノユギさんで、こうやって2020年になって新しくヨシノさんの文章が読めてうれしい。 吉野靫『誰かの理想を生きられはしない とり残され…

トランスを知るためのQ&A(初心者編) 

昔作ってホームページに載せていたのを、新しいホームページを作る際に削除していました(オイオイ)。というわけで、少し手をいれて再掲載します トランスを知るためのQ&A(初心者編) Q.1 トランスって同性愛の仲間? Q.2 トランスになる“原因”は何…

トランスを知るためのQ&A(初心者編) ⑨⑩

Q.9 男とか女とかじゃなくて、その人らしく生きればいいよね? だれもが自分らしく生きられる社会は理想的です。 しかし、実際のところ、いま私たちが生きているこの社会は、24時間365日、執拗に、あらゆる場面で性別を問われ、それにより異なる期待をし…

トランスを知るためのQ&A(初心者編) ⑦⑧

Q.7 性別って2つだけじゃないの? 「性同一性」(自分をどのような性別だと思うのか)のあり方は、人によって大きく異なります。 あるトランスの人は、自分自身を男性や女性であり「中間」ではないと捉えます。別のトランスの人は、自分自身のことを「男性…