バラバラに、ともに。遠藤まめたのブログ

LGBTの子ども・若者支援に取り組む30代トランスの雑記帳です

性の多様性について個別対応ではなくみんなで学んだほうがいい理由

性の多様性について悩んでいる子への個別対応だけでは不十分で、みんなで学んだ方が良いわけは「当事者の子どもがカミングアウトの相手として最も選ぶのは同級生だから」というのが大きい。

これは「いのちリスペクト。ホワイトリボン・キャンペーン」が2013年に実施したLGBT学生生活実態調査からの抜粋だが、高校卒業までにだれかにカミングアウトしたというLGBT当事者が相手に選んであるのは圧倒的に同級生だ。

 

つまり、カミングアウトは教師の知らないところで、子どもたちの間で生じている。

知識がない場合、カミングアウトされた生徒が周囲に言いふらして広めてしまう(いわゆるアウティング)が起きる可能性は大きい。実際によく起きている。

アウティングは悪意があって起きるわけではなく、多くの場合には「知識がない」から起きるので、子どもが意図せず加害者側になってしまうのでは気の毒だ。これは子どもの責任というより、教えない大人に問題がある。

力になれるのは友人のあなた

ときどき授業に呼ばれて、性の多様性について話すことがある。

メッセージとしては次のことを伝えている。

・悩んでいる人の力になれるのは友達

・あなたがLGBTQを茶化していたら、友達が無理して笑っているかもしれない

・もし打ち明けられたことを一人で抱えるのがつらかったらLINE相談をつかおう。だれでもつかっていい。

 

子どもに性の多様性について教えるのは早すぎるとか、子どもには理解できないなんて意見をときどき耳にするが、そんなことはない。子どもたちはすでにYouTubeなどでLGBT当事者を知っていたり、教員が知らないところで友達からカミングアウトを受けていたりする。

中学生の反応を一部紹介すると、こんな感じだ。

・自分が面白いと思ってやっていたことが、友達の信頼を失うことだとわかった。失礼な言葉をもう使わない

・私も友人にバイセクシュアルだと言われたことがあります。授業を受けてより理解が深まってよかったです

私の授業は、保護者見学可にしてもらうことが多い。ほとんどの保護者が「今の子は大切なことを学べていい」と語る。

近年、高校では精神疾患について数十年ぶりに教えることになった。小中学校でも近く扱う方向で話が進んでいるらしい。ガンは死ぬ病気ではないと教えるようにもなった。性の多様性についても当たり前になってほしい。

http://youtu.be/l9zTcTI-iog

 

参考までに、以前友人らと作った中学生向けの動画を貼ってみる。ちなみにLGBTの授業じゃなくて性の多様性の授業という言い方をすることが、実践者の間では定着しつつある。

LGBTについて学ぶだと自分と関係ないだれかのこと/当事者探し的な発想になる。

性の多様性について学ぶのは自分や友達みんなについて学ぶことで、このふたつは子どもたちに与えるイメージが全然違う。