2020年春にLGBTQコミュニティでたぶん起きていることについて
新型コロナとLGBTQ
先日のWezzy連載にも書いたが、昨今の外出規制によって、アメリカでは若年層のLGBTQ向けの自殺予防に取り組む「Trevor Project」への相談が倍増しているらしい。
関連して日本ではどうですか、と取材を受けるけれど「そもそもみんながどんな状況か把握できていない」のが一番のヤバさだと思う。
若年層向けのLGBTの居場所づくりをしているにじーずでは、いまこそデジタルユースワークだぞ!!という感じで、ツイキャスで番組をはじめたけど、いつもみたいにみんなと会って話したりはしてないし、把握していることなんてごく一部だと思う(家族と過ごす時間が長くなったおかげで、関係がよくなった子もいて、よかったなと思った。)
結局は収束した後に「みんなどうだった?」って会って話してようやくソーシャル・ディスタンスがLGBTQコミュニティにもたらしたものについて輪郭が掴める感じじゃないだろうか。
今のところあがっている声としては、LGBTQの人たちへの影響としてはこういうものがあると思う。
- LGBTQ向けの飲食店やバーなどの休業
- 非営利団体や行政による支援事業の休止
- 実家勢の場合、理解ない家族と過ごすストレス
- 講演会や啓発イベントの中止
- パートナー、恋人、同居人からの暴力
- 同居人の存在を隠している人のプライバシー危機
- タイでの性別適合手術延期による見通しのたたなさ
- ホルモン個人輸入や通院の中断
ほかにも、もっと一般的な感染不安やストレス、経済危機などもある。トランスの人たちは不安定な雇用形態の人たちが多いから、より脆弱なところに晒されやすい、みたいなところもある。
どうしたらいいか、について
おそらく対処法としては次の3つがあると思う
- 平常時の状況を変える
- コロナ後の選択肢を増やす契機と捉える
- より抜本的に考える
1 . 平常時の状況を変える
そもそもタイで性別適合手術しなきゃならない日本国内の医療資源の弱さをなんとかしよう、同性の同居人の存在がばれたら社会的に死ぬ、みたいな不安を感じさせる社会状況を変えよう、というもの。そんな簡単にできるかよと言われそうだけど、でも結局には日頃の状況のまずさを改善しないと難しい部分はあるなと。
2.コロナ後の選択肢を増やす契機と捉える
オンラインで若年層のLGBT向け番組をやったら、普段遠くに住んでいて参加できなかった子たちが喜んでくれた。イベントのライブ配信についても同様だった。乙武さんもnote.で書いていたけれど、もとからアクセスできない人はいるし今後もいる。
事態収束後も自宅などからアクセスできる資源を増やすことは価値があるし、今はその準備期間と考えてもよいかも。
3.より抜本的に考える
今は飲食店の人も、映画館の人も、ライブハウスの人も、ひとりぐらしをはじめた学生も、みんな困っている。個人的にはLGBTQが、というより「消費税を下げる」とか「もっと投票にいこう」とか、より抜本的な変革が必要だと感じる。同じように、この状況で困っているLGBTQユースを助けたいと思うなら、虐待/DV/労働相談/貧困関連の既存の相談機関がLGBTQも安心して使える仕様になるよう働きかけるのが良いと思う。特化型でできることの限界も感じる。
新しくLINE相談したらいいかな、電話相談を増やしたらいいのかな、インスタ ライブで悩み相談をしたらいいかな、とあれこれ考えたけど、今はつなげられる社会資源自体がほとんど機能してなく、リファーできるところが少ないのももどかしい。社会資源を増やすこと、LGBTに特化したものじゃないものでも使えるように働きかけを続けることが大事だな、という想いが強まっている。