バラバラに、ともに。遠藤まめたのブログ

LGBTの子ども・若者支援に取り組む30代トランスの雑記帳です

リスクコミュニケーション

免疫抑制剤を飲んでいるので今週から自宅でリモートワークしている。前職まで公衆衛生の仕事をしていて、ヒアリスズメバチに関する相談、そのまえは屠場で食肉検査に関わった。

 

ヒアリではないかと持ち込まれる虫の中にヒアリは1匹もいなかった。それはそういうものとして、在来アリを殺すことが却って外来アリの定着をたすけることになるのにドラッグストアではアリ用殺虫剤が店頭に並んで、売れまくっていた。科学的なコミュニケーションは難しい。

 

保健所はミツバチを駆除対象とはしなかった。怒鳴り込んできた市民の方に「不快な生き物を殺すのが行政の仕事ではない。生態系も守らなくてはいけない」と私が述べ、議員を交えたトラブルになったこともあった。私が正論を述べられたのは守ってくれる上司がいたからだ。「刺されたら責任とれんのか」と議員から電話をもらい、その場でやむなく対応する羽目になったが、後日「なぜミツバチを殺すのか」と別議員から抗議が入り、私たちは嬉々としてミツバチの重要性をホームページ上に記載したんだった。

 

厚労省の役人に今守ってくれる上司はいるんだろうか。科学者は「絶対」ということばを口にしない。100%こうだという話し方をすることもできず、わかっていることしかいえない。「手を洗いましょう」みたいなバカげたことしか言えないのは、それが感染症対策の基本だからだ。「それ以上」のことを話す人たちは科学の人ではないが、人々は「それ以上」を望む。日頃、政権よりの発言をしている人がこの件では政権批判をしているのを見ると、リスクコミュニケーションがいかに難しいかを改めて知らされる。

 

日ごろから免疫に問題を抱えた人間としては、ちょっとした風邪でだれもが休める社会がありがたいし、満員電車に乗らなくても済むような仕事が増えたらうれしい。