新刊『ひとりひとりの「性」を大切にする社会へ』が出ました!
よかったらレビューを書いてほしいな!
今週ようやく発売となりました!
『ひとりひとりの「性」を大切にする社会へ』(新日本出版社、税込み1650円)
発行元の新日本出版社さんのページに、読者の感想コーナーがあって
「LGBT当事者の本、と聞いて、実は尻込みしていた自分がいた。さぞかし今の社会への恨みつらみが書かれているのでは…と思っていたからだ。ところが全編を通して優しく、くすっと笑わせる記述に溢れていて、読むうちに懸念はするすると溶けていた」
(40代、主婦)
と、いかにも読者の感想コーナーというかたちで照れ臭いのですが(ちなみに恨みつらみ要素も多少は練りこまれております)、読む人によって随分と感想が変わりそうな、いろんな角度から読める仕上がりとなっているので、よかったらぜひAmazonでもSNSでもレビューや感想を書いていただけるとうれしいです。
どんな内容の本なのか?
約3年前にウェブマガジン「Wezzy」ではじめた「トランス男子のフェミな日常」という連載をもとに、それをまとめるつもりで書き始めたのですが、読み返したら「全部書き直したい」という衝動に駆られてしまい、衝動のままに結局ほぼ書き下ろしになりました。
コンテンツは以下の通り。
第1章 時事から読み解くLGBT
「ふーん、そうなんだー。そんなこともあるんだね」で一般の人々には忘却されそうなLGBT関連の時事ネタをしつこく深掘りし、題材はLGBTであっても、広く多様性包摂やジェンダーについて考えさせるような作りにしました。
第2章 トランスジェンダーとフェミニズム
「Wezzy」での連載が始まった当初、トランスジェンダー とフェミニズムについて議論している人は日本ではとても少なく、その後女子大へのトランス女性受け入れをきっかけにSNS上ではトランス排他的な自称フェミニストの書き込みが洪水のように溢れ出したわけですが、SNSを見ていない人でも議論についていけるような内容にしました。
第3章 私たちが生きる多様な社会
多様性を大切にしようと口で言うことは容易だったり、自分や大切な人たちの「生きづらさ」に目を向けることはなんとかできたりしても、実際には自分が好きだったアーティストが性暴力の加害者になってしまったり、思いこみでトンチンカンなことをしてしまったり、無力感に追いやられたり、いろんなドラマは日常生活に起きるもの。多様性についてもう一歩深い議論ができたらいいな、と思いエッセイを追加しました。
フェミニズムについて連載をはじめたきっかけ
上に書いたみたいに、3年前に連載を始めたころはトランスジェンダーとフェミニズムについて発言している人は日本ではとても少なくて(もちろん以前には田中玲さんの『トランスジェンダーフェミニズム』などの著作もあったけれど)、トランス男性の自分がフェミニストであることを公言することにも「フェミニストを名乗るなんて、おめーは女だろ!」なんて言われたらいやだなあ、なんてドキドキする気持ちがあったことを想い出します。
2010年代のLGBTブームが経済主導で進んでいってジェンダーの問題を置いてけぼりにしてしまうんじゃないかという違和感はずっとあったのだけど、電通の高橋まつりさんが過労自殺したことで連日メディアが持ちきりだったときに「LGBTが働きやすい会社」として電通に賞が送られてしまったことが、私を決定的にフェミニストにしたんじゃないかな、と今振り返ると思います。男性じゃない人たちがこんなに生きづらい社会で、性差別に目をつぶって「LGBTへの理解を進めよう」って、そりゃーないだろと。
あの頃は2020年になって、フェミニズムがトランスジェンダーを攻撃するための道具にここまで使われるなんて思っていなかった。
悲しいことも残念なこともあるけれど、差別をなくそうとする人たちが別の人をうっかり差別したりすることは「人類あるある」なので、とりあえず140字の応酬ではないやり方で、ひとりひとりの性が大切にされる社会に向けて、これからやれることを探していきたいなと思っています。
海外だとトランスジェンダー でフェミニズムについて発信している人が結構いるので、日本でもどんどん増えていくと良いな。
動画は最近見つけた素敵な動画です。日本語字幕も選べるので、まだ見ていない人はぜひ。